結局父親とは鑑賞しませんでしたね、いつものことです。
神への語りかけが延々とナレーションで続きますが、語りかけるのは母親と息子です。
社会的な地位を手に入れた男(ショーン・ペン)は過去の記憶をたどるように
母親と父親、兄弟と少年時代の自分に思いをはせます。
テレンス・マリック監督、寡作秀作で有名。裕福な家庭に生まれハーバード大学で哲学を学び、フランスの大学で教鞭もとるかなりの秀才です。
「映画がすべてを語る」と世界的な映画祭でも出席せず、ベールに包まれた作家です。
おぉっ!と思ったのは、壮大な自然シーンの連続の中で恐竜が出てきます!
これにはどきーっとしました。ここまでするんだ、こんな映画もあるんだ!と感動しました。
あたらしい映画の姿をみたような気がします。
確かにこの映画、賛否がわかれるんだろうなと思います。
個人的には美しい映像のモンタージュ、そのなかに汚れを見たかったような気がします。
だからこそ映画自体が神様のようになってしまっている印象を持ったのでしょうけど。
見ている人が解釈する余地のないほどに徹底された「テレンス・マリック」の映画という感じを受けました。
悪く言えば映画の外にもうひとつの世界があるって気がつかせてくれるものとは真逆の映画かな。
こういう映画は10年に1本くらいひっそりと顔をのぞかせる程度であるべきです。
「華氏911」が受賞するカンヌですから当然のパルムドールなのでしょうね。
ん~でも、う~ん。
「愛がなければ人生はあっという間にすぎる。」心に響く言葉が沢山ありました。
役者の演技もすばらしく、緻密に描かれた物語、申し分のない強度をもった映画です。少し怖くなりました。
マリック監督、あんまり映画撮らないでね。って心のなかでつぶやきながら映画館を出ました。
隣の席の女の子は男の子に「よくわかんないね」と言って足をかさねて「もうすこしだけ遠ざかってくれないかなあ。」とつぶいていました。
